《あらすじ》

朝起きたら、自分の身の回りの何もかもが四角くなっていた。

どうやらここはマインクラフトの世界らしい???

最初のうちは戸惑いながらも、なんとか世界に適応してゆく主人公。

いつしか、エンダードラゴンを征伐するという目標の下、冒険に出発するのであった。

 

※この作品は、過去に「おためし小説投稿 フリー小説投稿館」「おためし小説投稿 SS投稿館」にて連載していた物のリメイク版です。


【プロローグ】(2019/09/04 午後5:32:38)

 

朝起きたら、世界が四角かった。

見渡す物全てが、四角かった。

ありとあらゆる物が、四角かった。

 

...ここはどこだ?

そう思ったのだが、この風景には見覚えがある。

四角い木、四角い牛、四角い野花、四角い石。

考えた挙句、ここはあの大人気ゲーム “マインクラフト” の世界であると結論付けた。

 

自分でも何がどうなっているのか良く分からなかったが、マイクラの世界であるとしか考えざるを得ないのだ。

あの見慣れた風景は、自分が幼い頃に遊んでいたゲーム内の風景とほぼ一致している。

 

正直、驚きはしなかった。

余りにも突然の出来事で、驚く余裕すら無かったのだ。

夢なんかじゃない。

ここは間違いなくマインクラフトの世界だ。

 

だが、ふと、こんなことを思った。

 

「この世界から出るには、どうすればいいのだろう」

 

周りを見ても出口らしきゲートはない。

落ち着いて考えるんだ。

こういうとき、マイクラの中だったら、どうする?

マイクラ内に全クリアという概念は存在しないが、一応それっぽい物はある事を思い出した。

 

「...そうか。エンダードラゴンを倒せば良いのか...。それを倒せば、出口となるポータルが出現するはず」

 

そう思ったのも束の間、すぐに新たな疑問が次々に湧き出てくる。

 

“どうやってエンダードラゴンを討伐すれば良いんだ?”

“装備品はどうすれば?防具は?剣は?弓は?”

“そもそもバトル中に死んだらどうなる?”

 

だが、こんなことを考えている余裕は無い。

俺の記憶が正しければ、マイクラの世界は20分で1日が終わる。

悪魔でも予想に過ぎないが、さっきから10分弱はたっただろう。

夜になれば、モンスターが襲いかかってくる。

 

このような状況下において助かる方法は、ただ1つ。

早いうちに家を建てるべきである。

いや、家でなくても良い。

穴を掘って、その中に一時的に住んでも良い。

とにかく、モンスター達から身を守れるような場所が必要なのだ。

 

俺は前者を選ぶ事にした。

...のだが、またしてもここで問題が浮上。

マイクラの世界であれば、一部のブロックを除いて、ほぼ全てのブロックを “素手” で掘る事が出来る。

 

しかし、これはマインクラフトのプレイヤーのみに適用される、ある種の特殊能力みたいなものである。

それに対して、俺は生身の人間だ。

土をそう簡単に素手で掘ることができるだろうか。

仮に掘れたとしても、1メートル分の穴を掘るのに何時間かかるだろう?

マイクラ内では “1秒” もかからずに掘ることができるが、到底及ぶ物ではない。

 

 

さあ、どうしようか?